時折Twitterでやってたやつです、今回は台本形式脱却目指しました。
続きからどうぞ。
「クソッ、ンで泣いてんだ俺ェ!」
散々泣き散らしても涙が止まない荒北の部屋―
陽が落ちて暗くなった部屋に、とめどなく溢れる涙は荒北の心を蝕んでいた。
「俺が集団をコントロールできていれば」
「俺がもっと早く呉南にケリをつけられていれば」
「俺が小野田チャンを運ばなければ」
……本気で思っている訳ではない。
あの場で、最善の手を打ってきた、ならばインターハイのこの結果は、必然のものだったのだろう。
ふと軽いノック音が転がり込んできた。
音の主はガチャガチャとノブを操作するが、鍵をかけたので扉は開かない。
「誰だ、今人に会うつもりは無ェぞ」
と震える声で乱暴に声を投げつける。
「つれないな靖友、そうだな、今はラフメイカーとでも名乗るよ」
「っせ、新開じゃねーかヨ」
インハイの文句でも言いに来たのか
という自棄を起こした言葉を飲み込む。
「帰れ、今は誰にも会うつもりは無ェってんだよ」
「いやそれは困るな靖友、おめさんに笑顔を持ってきたんだが……というか寒いから入れてくれないか」
冗談じゃない、そもそも慰めてくれなんて呼んだ覚えは無い。
俺なんかより慰めるべき奴はいるだろうに……。
「いいから俺なんかに構わず消えてくれ」
すると声は返ってこなかった。
よかった、これでまた泣ける。
―
泣き腫らし、遂に床が濡れ始めた頃再びノックの音が飛び込んできた。
「靖友、そろそろ入れてくれないか?風邪ひきそうだ」
あの野郎、まだいやがったのか!
「消えろつっただろうがァ!」
……一呼吸起き、また震えた声が聞こえてくる。
「そんな言葉を言われたのは生まれて初めてだ……どうしよう、泣きそうだ……」
冗談じゃないラフメイカー、アンタが泣いてちゃしょうがないだろう。
泣きたいのは俺の方だ、こんなもん呼んだ覚えは無い。
―
二人分の泣き声が廊下に遠く響く。
ドアを挟んで背中合わせに泣く二人。
すっかり疲れて泣き声にはしゃっくりが混じる。
「なァ新開」
「なんだ靖友、あいや、ラフメイカーだ」
そんな名前はどうでもいい、大事なのは―
「まだ、俺を笑わせるつもりか?」
確認しておきたかった、新開の自己満足のつもりだろうがなんだろうが、俺を、荒北靖友の所に来てくれた、それが事実か否か。
「勿論だよ靖友、今はもう、それだけが生き甲斐と言ってもいいな、笑わせないと帰れない」
……ハ!
コイツは本当に俺を笑わせる為だけに来たようだ。
それなのに俺はコイツに、新開に酷い事を言ってしまった……。
「なァ、今ならお前を部屋に入れてもいいと思ってる……でもヨ、俺からドアは開けらんねェ……気持ちの問題だけどな、新開が開けて入ってくれ」
……しかし返事が無い。
「どうした?鍵なら開けたぜ、早く入ってこいよ」
だがまた返事が無い、どうした、おいまさか!?
「テメェ新開! 今さら俺一人置いて構わず消えやがったのか!」
信じた瞬間裏切られた、何がラフメイカーだ、冗談じゃない!
その時、部屋の窓が割れる音。
そちらに振り向くと鉄パイプで目元を腫らした新開がいた。
「よう靖友、ラフメイカーだ、おめさんに笑顔を持ってきたぜ」
お決まりのバキュンポーズを決めながら。
―
「そんでヨ、笑顔を持ってきたって具体的に何するワケ」
そう訪ねると新開は得意気に、ポケットから小さな鏡を取り出し荒北に向けながらこう言った。
「靖友、おめさんの泣き顔、笑えるぞ」
呆れたが……
「なるほど、笑えるなそりゃァ」
―了―
翌日
ネーナニアレ
アラキタナニシタノ
荒北「あァ?んだこれ」
通告
3年○組 荒北靖友
×月△日放課後 職員室○○まで来るように
寮長「荒北くん、昨日の夜ガラスが割れる音と怒鳴り声が聞こえたけどまさか……」
荒北「まさかってなんだヨ!俺は何もしてねェぞ!」
寮長「ヒィッ!やめて!殺さないで!」
荒北「殺さねェよ!」
その後放課後、荒北と共に正座で怒られる新開の姿があった
―完―
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- 2017/11/09(木) 14:32:59|
- SS
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